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hold harmless and indemnify...

会計ムラのぱんぴー。

東芝 PwCによる結論の不表明

金融商品取引法の規定により株式会社東芝の連結財務諸表の監査を行うPwCあらた監査法人が、同社の2016年6月期、同9月期、同12月期の連結財務諸表について、それぞれのレビュー報告書で結論の不表明(disclaimer)を表明しました。

これでPwCあらたは、自らが担当した会計期間のレビュー報告をすべて撤回したことになります。

 

年度末の監査報告書、四半期のレビュー報告書は、ざっくり3つのレベルに分かれています。つまり、1.問題なし、2.部分的に問題あり、3.問題あり の3レベルです。

今回の結論の不表明(disclaimer)は、このうち3.問題あり、の区分で、不適正(adverse)の結論の表明と同じレベルです。

通常、システムトラブルで会計数値が吹っ飛んだとか、天災があって実務上監査手続きを行うことが不可能だとか、不可抗力に伴って不表明になるケースと、今回のように、監査を受ける会社側が、資料の提出や必要な協力を行わない場合に表明されますが、対象の財務諸表に3.問題あり と表明するわけですから、何れにしても非常にレアです。

 

報道や開示資料からの個人的な妄想ですが、

・日本のPwCあらたのチームが、USのPwCにWEC社の監査をさせていて、実際に現地に誰かパートナーが飛んでoversiteしている

・USのPwCはWEC社についてdisclaimerを表明している or 表明しようとしている、または、adverse opinion を表明しようとしている。

・このままだと株式会社東芝のレビュー報告も、良くてdisclaimer、場合によってはadverseとなるため、日本のPwCあらたが東芝の監査委員会に状況を報告した。

東芝の監査委員会は、あわてて調査を本格化させたが、US PwCの懸念を払拭する調査を達成できなかった。(監査委員長がフォレンジックのメールの件数を強調していましたが、プレッシャーをかけるのは普通in personでやるでしょうから、ちょっと意味不明ですよね。要するに、時間も限られますし、PwCが否定的結論を表明することを見越して、実際に表明されたときに対面を守るための、そうゆうレベルの報告書が作成・提出されたということですかね。

・日本のPwCあらたは、adverseを出すかdisclaimerを出すか、US PwCとも悩んだ挙句、担当した過去全ての全てのレビュー報告書にdisclaimerを付けることにした。

 

なんとなくですが、WEC社の監査を行うUS PwCは、従業員からの直接の通報か何かで、財務諸表の不正の証拠を握っているのでは無いでしょうか。過年度修正が必要なことについて、相当な自信があるように感じます。

 

また、記者会見では某ニュースサイトで有名な独立アナリストの方が、半導体子会社を時価評価しないのは矛盾だ、とか、監査法人を変えるべきだ、とか、ちょっとアレな質問されていて、会計面はCFOの平田さんが困り顔で会計基準上はそういった処理は認められない旨回答されていたのが印象的でした。

一方で、監査法人の選定を行う監査委員長の佐藤さんは、監査法人の変更の可能性はゼロでは無いと言ってしまって、非常なニュースになっています。

(東芝担当アナリストとしては、UBSの方に個人的には注目していたのですが、質問当てられませんでしたね。こうやって厳しい発言をするアナリストを外して、comfortableな質問をする人に発言させにいく姿勢も、こういった非常時の広報IRのあり方として考えものですね。某独立アナリストは、前回の記者会見でもかなり早いタイミングで当てられていた印象です。

 

佐藤さんはトーマツCEO経験者ですから流石にご存知でしょうが、不可抗力以外の理由で結論の不表明をしたということは、PwCあらたは、これまで掛かった費用を請求した上で監査契約の解除することを検討しているはずで、もし契約解除&辞任されたら、現実的には後任監査人は見つけられない(か、記録的に高額な監査報酬を払って、DeliitteかKPMGに引き取ってもらう)でしょうから、そもそも東芝は2017年3月期の連結財務諸表の監査を受けられない状況となります。

 

さて、EYだけではなくてPwCまで騙しに掛かったように見える東芝ですが、今後どうするのでしょうか。上場廃止は確実と思っていますが、その場合USGAAPの連結財務諸表を法定監査向けに作成出来ないと思われますし、再上場までの間にしれっとIFRSに変えて、移行作業で色んなものを隠しにいくのでいくのでしょうか。

 

外野からは色んな声があるでしょうが、経営者による内部統制無効化が生じている大規模企業監査、という途方も無い課題に対して、PwCはとても立派な仕事をしていると思います。個人的には応援しています。