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hold harmless and indemnify...

会計ムラのぱんぴー。

東芝:GC注記が付いた場合ののれんや無形資産の評価って?

diamond.jp

やはり東芝さんは厳しい情勢ですね。債務超過は避けられないとなると、四半期報告書にはGC注記が付くことになるのでしょうか。

 

ちょっとUSGAAPを整理しきれていないのですが、GC注記が付いたときにインカム・アプローチで評価した資産の取り扱いをどうするのか気になっています。おおむね5年先までの計画をもとにのれんや無形資産が評価されているかと思いますが、GC注記が付くことで、そもそも5年先に会社が存続しているかどうかわからないと企業自身が表明することになって、のれんや無形資産の金額決定の前提となる計画が無意味なものであると評価されるおそれがあるような気がします。

 

ちらっと記者会見とその後の質疑応答を見ましたが、平田CFOの受け答えを見ると引き続きDCFで評価しているものがある(ただやはり、WACCは上げている模様。)ようです。ランディス・ギアののれんやその他ののれんの再評価やPPAで発生した無形資産で減損を計上することは、WACC上昇やブランドイメージ低下に伴う事業環境の悪化を踏まえるともはや不可避だと思いますが、その額がどの程度になるのか、フォローしていきたいと思います。

ベイカレント<6532> 減損テスト結果の開示

www.baycurrent.co.jp

 

上場直後に社長が辞任したことで話題になっていましたが、IFRS適用会社だったのですね。しかも、子会社が無いとのことで、事実上単体財務諸表にIFRS適用なのですね。通常、IFRS財務諸表は上場企業の連結財務諸表のみに適用できる(単体は国税庁の反対で引き続き日本基準を強制)ということだったと思うのですが、どういう整理になっているのでしょうか。単に勝手開示ですかね?

 

この会社、資産の過半はのれん(約200億円)で、これを長期借入と純資産でファイナンスするという何ともファンキーなB/Sとなっています。(こんなにのれんがあると、確かに日本基準は避けたいでしょうね。)

 

となると、当然のれんの評価に注目が集まりますが、そののれんの減損テストの結果について開示されています。

 

IFRS(IAS36号)では、少なくとも年に1度、一定の時期に、のれんやその他の耐用年数のない無形資産の金額評価の見直し(いわゆる「減損テスト」)を行うことが求められています。また、のれんに評価減の兆候がある場合には、その都度、減損テストを行うことを求めています。

今回の減損テスト結果の開示は、のれんに評価減の兆候があったことに伴うもので、先日の前社長退任時にあわせて開示された業績予想の下方修正が、のれん評価減の兆候とされています。

 

さてIFRSののれんですが、Cash Generating Unit(資金生成単位)という単位ごとに金額が設定されています。資金生成単位とは、ざっくりいって社内の事業部のようなものです。その事業部の価値が当初前提よりも下がっていれば、その下がった分だけ(のれん計上額が上限)損失を計上するのがのれん減損です。

 

会計用語で書き直すと、Value in Use(使用価値)とFair Value less cost to sell(売却コスト控除後の公正価値)の大きいほう(=Recoverable amount)と、計上されているのれんの簿価を比べて、のれんの簿価がこの再測定した価値より大きければ、その再測定価値(通常は使用価値を採用)まで評価を切り下げて、減損損失を計上します。

*話題の東芝さんの減損は、あちらはUSGAAPで会計基準が違うため、若干減損損失の計上の方法論が異なります。(USGAAPはPPAをやり直すことで減損損失を計上する。)

 

今回のベイカレントさんのケースでは、3つの資金生成単位にのれんを振っていて、どの資金生成単位の使用価値も現在の簿価を上回っていることから、減損損失は発生しないということのようです。

のれんの発生要因となった吸収合併が2014年と少し先で、それ以降に企業規模を拡大したことを考えれば、当時の前提条件を毀損する(減損損失が発生する)可能性は通常よりも小さいのかもしれません。

 

業界フィールド的には、IBMアクセンチュアと近い(大半がIT関連のコンサル案件?)ようにみえますが、伍して戦っているようで凄いですね。

 

裏返すと、伍して戦えなくなったときには、のれんの減損が一気に起こって、コベナンツも引っかかって、債務超過上場廃止ですかね。

 

*あくまで個人の見解です。内容は的確であることに努めていますが、その正確性や特定の目的適合性を含め何ら保証するものではありません。プロフェッショナルのアドバイスをもとにご判断ください。

 

個人的な雑感 東芝減損の件

www.toshiba.co.jp

年始でやることもなく、先日の記者会見や過去開示資料などひっくり返してみましたが、やはり込み入っていて「数千億円」というのが何を指すかは想像の域を出ないですね。。

 

ちょっと整理するだけでも、S&W買収にかかる「のれん」の計上、当該「のれん」の減損、WEC連結での「のれん」の減損(10月1日基準、12月末基準)、(株)東芝連結での「のれん」の減損(10月1日基準、12月末基準)、格付低下→WACC(WARA)の上昇で他の「のれん」や耐用年数のない「無形固定資産」の減損兆候にならないか、S&W社買収プロセスに内部統制の不備は無かったか、特設注意銘柄(最終期限は3月15日)から出られるのか、有利子負債のコベナンツはどうなってるのか…等、かなりの数に及びます。。

 

以下、個人的な雑感です。

 

①この3Qで原子力関連事業だけで減損テストを4回やる?(大変。。)

米国会計基準上、のれんの減損テストは少なくとも年に1度、一定の時期に行うこととされており、東芝原子力関連事業に関しては、WECグループ・(株)東芝原子力事業どちらも毎年10月1日基準で行うものとされています。

(ただし、減損の兆候がある場合には、随時減損テストを実施する必要有。実際に、2016.2月末時点で(株)東芝原子力事業で減損テストをやっています。)

 

既にWECグループ、(株)東芝原子力事業の双方で、10月1日基準の減損テストが進行(時期的にはもう結論が出ている?適時開示をしていないことを鑑みると、減損無のはずだった?)していると思うのですが、仮に12月末時点でS&W社のPPAが完了し、巨額ののれんが計上され、減損兆候→WECグループでの減損テストで実際に減損が認識されると、(株)東芝原子力事業でも12月末基準での減損テストもやり直す必要が生じるんじゃないかな、というのが個人的な見立てです。(大変ですね。)

 

「のれん」だけに絞れば、(株)東芝原子力事業で持っているのれんはせいぜい1000億円程度で、2016.2月に減損を実施していることを考えると、巨額の減損が出てくるとすればWECグループなのかなと思います。

 

また不運なことに、この3Qはだいぶ円安が進みましたので、USDで報告するWEC社の損失がJPYベースでは大きく評価されますね。。

 

②格下げの影響

各種格付け機関レーティングが12月末に下がっています。原子力関連事業については、WEC・東芝どちらの減損テストでもインカム・アプローチを使っているといっていますから、12月末基準の減損テストはWACC/WARAの上昇の影響があるかもしれません。(将来キャッシュフローの割引率が高くなって、事業価値が小さく算定される。)

 

原子力関連以外では、ランディス・ギア社(スマートメーターの会社)に関連してざっくり1700億程度ののれんがあるようで、こののれんに関する減損テストに影響がある(格付け低下が減損兆候となって、減損テストを要求される?)かもしれません。

 

それと、あまり話題になっていませんが、非償却の無形資産でインカム・アプローチで評価してるものって無いんですかね。IR説明会を全部聞いたわけではないので、アナリストの方が質問されていたらすみません(質問しそうな気がします)が、社会的に認識が広まりつつある「のれん」にばかり焦点があたっていて(それはそれで良いことだと思いますが)、PPAで認識した非償却の無形資産の存在が忘れられている気がします。

 

③特設注意銘柄から脱することができるのか(上場廃止にならないか?)

この点についてもあまり焦点が当たっていない気がしますが、今回の減損損失の話、つまるところS&Wの買収時DDに不備があった(東芝/WECは相当酷いDDをやった)ということで、東芝またはWEC社の企業買収に関する内部統制に疑問符が付きかねません。(子会社の東芝テックIBM RSS事業買収の件もありますし。。)財務報告に関する内部統制の評価は、正直なところ厳しくない日本基準ですのでどうにでもなるでしょうが、東証との関係で印象悪であることには変わりありません。ただでさえ、特設注意銘柄の指定が継続され、最終期限が3月15日(ここまでに内部統制の改善が間に合わなければ監理ポスト上場廃止)と迫っている現状で、改善が進捗していることを印象付けたかったでしょうから、泣きっ面にハチですね。

 

今回いろいろと資料を見ていて思ったのですが、原子力事業の営業利益率が6%程度で、2兆円程度の米国プロジェクトで数千億円の追加費用が突然出てきてしまうのであれば、そんなローリターン・ハイリスクな事業は止めてしまった方が良いような気がします。

 

*あくまで個人の見解です。内容は的確であることに努めていますが、その正確性や特定の目的適合性を含め何ら保証するものではありません。プロフェッショナルのアドバイスをもとにご判断ください。

「不利な契約」の将来費用 - 東芝減損 S&W単体のUSGAAP処理?

www.huffingtonpost.jp

引き続き東芝さんは厳しい状況ですね。単純化してキャッシュフローだけ考えれば、価格調整に関する訴訟で第三者評価人のKPMGがいくらを弾きだすかを、やきもきしながら待っていればよいのでしょうが、会計面では債務超過会社の買収にあたってのPPAの妥当性、WECグループ連結と(株)東芝グループ連結でのそれぞれののれん減損テスト、その他の資産の減損は必要ないか、、などなど山ほど論点がありそうです。。(連結を見ている経理の方も、pwcの方も大変そうです。。)

 

報道を見ていると、S&W社のPPAの過程で判明した米国原発プロジェクトの契約履行債務としての将来費用が減損のキッカケとなっているとのことですが、「そういえばUSGAAPではOnerous Contract(不利な契約)で、将来見込み費用って引き当てられないんじゃなかったっけ」とおぼろげな記憶で思い出していました。

(今回話題になっているのは、PPAのための公正価値評価で連結の話なので、関係なしですが)

 

本屋で立ち読みしてみたのですが、かの長谷川先生の米国基準の本にも記載がなく(目次と索引で探しただけなので、もし記載あったらごめんなさい)、止む無く英語サイトをあたっていたところ以下を見つけました。

 

やはり、大雑把に言って、USGAAPでは「不利な契約」(onerous contract)の履行のために必要な将来費用を引き当てられないが、IFRSはIAS37のprovisionの要件を満たす限りで引当可とのことですね。

http://www.gaapdynamics.com/insights/blog/2016/10/04/accounting-for-onerous-contracts-under-asc-450-(fas-5)-and-ias-37/

 

にしても連結での損失が「数千億円」規模となるというのは、S&Wにかかるのれんの減損と一緒に、(株)東芝グループとWECグループでそれぞれ持っているのれん(約5,000億円?)が全部吹っ飛ぶってことですかね。Reporting Unitを「操作」して何とかしてきた過去の繰り延べ工作のツケですね。

読書:警視庁捜査二課 (講談社+α文庫)

 

警視庁捜査二課 (講談社+α文庫)

警視庁捜査二課 (講談社+α文庫)

 

 

すこし前から気になっていました。読み物としてはとても楽しい本で一気に読み切ったのですが、弁護士に言及する箇所の書きぶりなど、やはり警察官の方ですね。

 

著者が遭遇した事件を中心に著述されているのですが、物的証拠について触れることはほとんど無く、一方で警察に有利な「供述調書をとる」ことが最終目標であるかのごとく非常に多くのページを割いていて、冤罪ばかり起こるのも理解できる気がしました。

 

まあともかく、読んで良かった本でした。

韓国海運最大手の韓進海運(Hanjin)の経営破綻 - 保険適用の範囲

diamond.jp

英語ですがこちらのほうが詳細です。

www.wsj.com

こういった国際倒産は、巨額の弁護士費用がかかるんだろうなあ、と思いながらニュースを眺めていたのですが、会社更生法に相当する経営破綻の場合に保険がおりるのかどうか、個人的に気になっていました。外交貨物海上保険の標準約款(ICC)では、確か破産の場合は保険の適用が無かったような気がしていまして。

 

この疑問にどんぴしゃの回答をJETROさんが用意してくださっています。(以下、JETRO HPより引用。)

 

【Q2 今回の事態で貨物海上保険は適用されるか】

A.外航貨物海上保険において現在主流となっている 2009年改定協会約款(Institute Cargo Clauses: ICC)では、ICC(A)<1963年協会約款の全危険担保(All Risks)に相当>を付保した場合は、船会社の倒産により保険証券記載の仕向地以外の場所で運送契約が打ち切られ、その結果として本来の仕向地までの継 続費用が発生した場合には保険金の支払いの対象となります(ICC(A)第12条)。ただし、当該倒産情報を被保険者が知っていたか、または通常業務にお いて知っているべきであった場合は対象外となります(同第4条第6項)。また、輸送の遅延についても保険の免責事項となっており、今回の船会社の倒産で輸 送の遅延が生じ、当該遅延によって貨物に損害があったとしても保険金の対象とはなりません(同第4条第5項)。実際に保険金が支払われるかどうかは保険契 約の内容や状況に応じ個別の対応となるため、貨物海上保険を契約している保険会社に個別にお問い合わせください。

 

韓進海運の経営破たんについて | お知らせ 2016年 - お知らせ - お知らせ・記者発表 - ジェトロ

 

 

米アップルへの追徴税

各国が自己の裁量で税制を工夫することで、企業誘致を行うというのは、個人的には至極自然のことだと思っています。目線を国内に移すと、雇用者数増を目指しての工場の誘致等をめぐって地方自治体の間で補助金合戦のようなことが行われていますし、こうした自治体間競争が生じることは、基本的に好ましいことだと思っています。

 

これが国家間となると、途端にBEPSやら国際協調やらということになるわけですが、この状況には違和感を持っています。結局のところ、BEPSだとか国際協調だとか言いながら、税制をめぐっての国家間競争を妨害することで、「国際協調」の枠組みづくりに参加した国々が、それ以外の国々から本来得られた利益を簒奪する結果となっているように感じるのです。

 

jp.reuters.com