hold harmless and indemnify...

会計ムラのぱんぴー。

米アキュセラ・インク(4589)の三角合併

www.nikkei.com

少し前ですが、日本人の窪田さんという眼科医の方が創業されたアキュセラ・インク(米ワシントン州法人で東証に外国株式として上場)の三角合併が開示されています。

リンク:アキュセラ・インクの適時開示

 

ざっくりとした手続きですが、

①米国本社(A)の子会社として、新たに日本法人(B)(この会社が後に東証にテクニカル上場)を設立

②この日本法人(B)の子会社として、米ワシントン州に子会社(C)を設立

③米国本社(A)を米国子会社(C)が吸収。この吸収合併にあたって日本法人(B)の株式を対価として米国本社(A)の株主に交付する

 

本社を米国から日本に移転する三角合併で、日米の会社法制や税制が絡みあう手続きとなり通常の組織再編と比べて複雑度が高く(しかも日本法人は新規に上場しますし)、会社側の担当者として関わる方は、各方面の専門家と仕事をすることができて非常に勉強になるのだろうと思います。(うらやましいです。)

フード・プラネット<7853> レビュー報告書 結論不表明

珍しいものを見ました。継続企業の前提が担保できないということで、表題のフード・プラネット社で、レビュー報告書に結論の不表明が付いています。

知らなかったのですが、期末決算の監査報告書では「意見の不表明」、四半期決算のレビュー報告書では「結論の不表明」というように、文言が別れるのですね。

 

過去のIRをざっと見ましたが、色んなことが起こっている会社のようです。会計不祥事の際には、日弁連ガイドラインに準拠した第三者委員会が設置されており、この点は好印象なのですが(某T社や某前都知事の第三者委員会とは違いますね)、ビジネス面でのっぴきならない状況となっているということなのでしょう。

 

現在の会計監査人もここ最近で就任されたようで、結論不表明とするには、それなりに勇気が必要だったのではと推察されます。解任されたりしなければ良いですが。。

 

www.foodplanet.com

不動産証券化を学ぶーおすすめ本(不動産証券化・信託・会計とか)

ここ最近、必要性があって、不動産証券化について学んでいました。

どちらかというと「金融とかファイナンスとかは、複雑な感じでよくわからんな」という感じだったのですが、学んでいくうちにそれぞれよく出来た仕組みになっていることがわかり、視界が開けた実感があります。

 

以下、備忘も含めてブックリストです。

 

①「不動産証券化」をおおざっぱにつかむ

 そもそも「不動産証券化」って何ぞや、という状況で、元銀行マン・経理など、会計・財務面に多少の土地勘がある方でしたら、以下の本がおすすめです。複雑なスキーム等には深入りしていませんので、不動産証券化の類型や類型毎の違い、メリットなどをおおざっぱに掴むのには良いと思います。

金融マンのための 不動産ファイナンス講座<第2版>
 

 

教科書的な記載のほうが得意、という方でしたら、以下の本も良いと思います。本家の不動産証券化協会から出されている本です。上記の「金融マン…」との違いですが、おおざっぱに言って、上記本がビジネス面を中心に不動産証券化が説明されているのに対して、こちらは制度論から説明されている、といった印象です。

特別法を含め多くの法制度が絡むため、制度論の説明が中心となるのはやむを得ないのと思いますが、例えば金商法の規制など、殆ど金融面の知識がない私にはすこしハードルが高く感じられました。

入門 不動産証券化ビジネス

入門 不動産証券化ビジネス

 

 

 その他に以下の本も読みましたが、信託銀行が不動産をどのように見ているのかが感じられて個人的にはとてもためになりました。

企業不動産の活かし方

企業不動産の活かし方

 

 

②信託法を知る

正直、証券化を学び始めるまでは信託のことを全く知りませんでした。投資「信託」のように、非常に身近なところに存在していたにも関わらず何も知らなかった(いわば、無知のまま投資信託を買っていた)のが衝撃で、反省も込めて基礎から学ぶことにしました。

 

まず読んだのが以下の本です。…が、かなり難しいと感じました。(ただ、読んでいるのは楽しかった。)

信託のスキームでは、基本的に3つの当事者(委託者・受託者・受益者)が登場することもあり、誰が誰に対してどんな請求権を持つのかといった点が、結局整理しきれずじまいです。。

信託の仕組み (日経文庫)

信託の仕組み (日経文庫)

 

 

ということで、こちらの本も読んでいるのですが、(著名な)学者の方が書かれているということもあるのか、必要十分な記載となっており(「コノホン、ニホンゴナノニ、ナニイッテルカワカラナイ、という状態)、何度か読み直さないと理解できなさそうです。頑張ります。

 

信託法入門 (日経文庫)

信託法入門 (日経文庫)

 

 

すこし先にはなりますが、この2つの本をクリア出来たら、以下のような本に進んでいければと思っています。徐々に世の中の最先端に近づいている実感があって、わくわくしますね。(発売日も最近ですし。)

 

より広い視点で、流動化・証券化の全般を整理するために

資産・債権の流動化・証券化(第3版)

資産・債権の流動化・証券化(第3版)

 

 

証券化や流動化を通じた最新のファイナンス手法を知るために

 

③会計・税務面

おおざっぱな紹介になってしまいますが、会計・税務面については、以下の本が網羅的で必要十分なのではと思います。

SPC&匿名組合の法律・会計税務と評価 投資スキームの実際例と実務上の問題点 (第6版)

SPC&匿名組合の法律・会計税務と評価 投資スキームの実際例と実務上の問題点 (第6版)

 

 

実際のところ、不動産証券化においてどのような取引が行われているのか、ということさえわかれば、税務の話はありますが、会計上は既存の知識の寄せ集めで対応可能かと思います。(税務の話は、ヴィークルを組成する際の資料を見ていれば、案件組成者か誰かが説明してくれているかと。)

 

ソフトバンクGの英アーム社買収

www.nikkei.com

3月末時点の連結の現金残高が2.5兆円前後で、今回のみずほ銀行の無担保融資枠が1兆円、買収対価がキャッシュで約3.3億円ということなので、直近のポンド安やここ数ヶ月で続けてきた関連会社株式の整理が無ければ、資金不足だったということですね。

 

にしても、売上高1,800億円、税引後利益600億円の会社に、いくら成長可能性があるからといって、ぽーんと数兆円も払ってしまうことができるのは、流石としか言いようがありません。

三菱自動車 8年ぶり最終赤字見通し 燃費不正問題で - 内部統制の不備

www3.nhk.or.jp

 

三菱自動車さんですが、内部統制の不備も開示されていますね。自主的に不備を識別したわけではなく、会計監査人の指摘があったようです。ちなみに、会計監査人は新日本さんです。

www.mitsubishi-motors.com

管理部門担当の執行役員による会社資金の不正流用 - ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社(96100)

ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社(96100)から、過日に開示された管理部門担当の執行役員による会社資金の不正流用事案について、報告書が開示されています。

同社のIRサイト:
http://www.wilsonlearning.com/wlw/ir

 

…厳しい言い方かもしれませんが、報告書からは脆弱な統制環境や経営者による内部統制の無効化が起こっていた(経営者の方々にとってはそもそも「内部統制」とは何ぞや、という状況かもしれません。)がうかがわれ、起こるべくして起きた事案のように思われます。

 

報告書中では、以下のような統制環境の不備に言及されています。

  • 基本的な職務分担がなされていない
  • 経理担当社員の退職後も後任が採用されないなど、必要人員を大幅に下回る状況での決算報告
  • 経理規定が運用されていない
  • 内部監査が行われていない

多額の仮払・小口現金(貸方)残高があることを不審に思った経理担当者が、常勤監査役に事情を話しており(この時点では不正とは断定されていない)、常勤監査役から該当役員に適時に精算するよう求めていたようです。その後、会計監査人による実査手続きを契機に、隠し通すことは困難と観念した該当者から不正が申告されたとか。

 

本日開示された調査委員会(社外取締役+弁護士+執行役員)による報告書では、あえて一節を設けて監査法人の責任について、以下のような記載が見られます。前提となる規範が何なのか報告書からうかがい知ることはできませんが、本来企業の経営者が責任を負う自社のコンプライアンスについて、このように社外の利害関係者、特に監査法人に言及をしてしまうあたりが、古典的な不正が発生してしまうような貧弱な統制環境を物語っているように思います。(二重責任の原則なんて知るか!と。。)監査人のあずささんにとっては、こんな危ない企業にも関わらずこれまで対応してきたというのに、、といったところでしょうか。。

3. 監査法人の責任
監査法人からは、決算手続に時間がかかり過ぎていることを理由として、経理部門の人員を増員するように当社に対して要請が行われていた事実は認められるものの、経理部門において内部牽制が機能していない旨の指摘はなかったものと認められる。
Aによる経理処理上の隠ぺい工作に加えて、金額的な意味での重要性等を鑑みるならば、監査法人の責任を問うことは困難であると言わざるを得ないが、専門家である監査法人から経理部門において内部牽制が機能していない旨の指摘がなされなかったことが本件発覚を遅らせた要因の一つとなっていることは否めない。

アキュセラ・インク(4589) - SBIがSchedule 13D/A

話題のアキュセラ・インク(Acucela Inc.)(4589)ですが、昨日の開示でSBIインキュベーションによる買い増しが開示されていますね。

 

Edgarの原Sourceはこちらです。

SC 13D Amendment No. 10